血糖値スパイクとは。症状の特徴や危険性を紹介

「食後にぐったりする」「ご飯を食べ終わった後に急激に眠くなる」など身に覚えがありませんか?

その症状、もしかすると「血糖値スパイク」かもしれません。
血糖値スパイクは自身で気付きにくいうえに、放置すると血管にダメージを与えて大きなリスクとなります。健康診断で糖尿病を指摘されたことがないという方も、油断は大敵です。

今回は血糖値スパイクの症状や原因、そして自己診断から対策までしっかりと解説していきます。

- 目次 -

血糖値スパイクとは?症状の特徴

血糖値スパイクとは、血糖値が食後の短時間で乱高下することです。血糖値の変化をグラフにすると、くぎ(スパイク)のように見えることから「血糖値スパイク」と呼ばれています。

食事から摂取された糖分は、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きで筋肉の細胞などに取り込まれます。しかし生まれ持った体質や生活習慣の乱れによって、このホルモンの分泌が減る、または働きが低下することで血液中の糖を細胞に取り込みきれなくなることがあります。すい臓がさらに大量のインスリンを分泌して「血糖値スパイク」を引き起こします。

具体的には、食事の1-2時間後に血糖値が140mg/dLを超えることが多いと、糖尿病の発症につながり、脳梗塞のリスクが高くなるといわれています。

眠気、ぼーっとする

食後に血糖値が急上昇すると、血糖値を下げる唯一のホルモン「インスリン」が大量に分泌されます。これによって今後は血糖値が急に下がって低血糖となり、脳のエネルギーとして使うブドウ糖が不足して、眠気が出たりぼーっとしたりすることがあります。昼食後はいつも眠くて集中できないという方は要注意です。

イライラする

血糖値を下げるホルモンは「インスリン」のみですが、低血糖のときに血糖値を上げるホルモンは複数あります。中でもアドレナリン、ノルアドレナリンといった興奮系のホルモンが作用すると、イライラや不安感、動悸や手足のしびれ、筋肉のしびれ、頭痛などの症状が出ることがあります。

血糖値スパイクの危険性!放置のリスク

空腹時と食後の血糖値の差が大きいほど、血管に大きなダメージを与えます。糖尿病を発症する前の食後高血糖の段階で、動脈硬化は進んでいるといわれています。

急激な血糖値上昇により活性酸素が発生
→血管を傷つけて血流が滞る
→血栓が血管を詰まらせる(場所により脳梗塞や心筋梗塞を発症)

またインスリンが過剰に分泌されることによる低血糖も問題であり、認知症やがんを発症するリスクが高くなるといわれています。

インスリンが多い状態では、記憶力が衰えやすいことがネズミの実験で明らかになりました。脳に「アミロイドベータ」という物質が蓄積して、アルツハイマー型認知症の原因になります。老人斑とも呼ばれる、脳についたシミのようなものです。さらに、インスリンの細胞を増殖させる働きによって、がん細胞の増殖を促す危険性もあります。

食後は眠くなるものと安易に考えて放置せずに、血糖値を大きく変動させない食生活を続けることが大切です。

健康診断では発見されにくい血糖値スパイク

血糖値スパイクは健康診断で見逃されやすく、「隠れ糖尿病」「糖尿病予備群」とも呼ばれます。一時的な高血糖があっても、インスリンの追加分泌が可能な間は、空腹時の血糖値は正常に下がっているため、空腹時血糖の検査では食後の高血糖は分かりません。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は過去1-2ヶ月間の血糖値の平均を数値にしたものです。HbA1cが6.5%未満であれば正常とされますが、こちらも食後の一時的な高血糖は反映されにくいです。

食後血糖値の変化を調べる方法は複数あります。ただし、医師の判断によって保険適用となるかは異なります。

  • 糖負荷試験(OGTT)
    空腹時に75gのブドウ糖を溶かした水を飲み、2時間後まで30分おきの採血で血糖値を測定
  • 血糖自己測定(SMGB)
    指先に細い針を穿刺して、少量の血液でその時点の血糖値を測定
  • 持続血糖チェック機器
    上腕につけたセンサーで血糖値の変化を24時間測定(※食事前後の変化を詳しく測定可能)

血糖値スパイクの原因と対策法

1日3食しっかり食べる。特に朝食が大事!

朝食を抜いて、昼食に丼や麺類など糖質に偏った食事をすると、体は糖を必要としているため急激に血糖値が上がります。糖質の吸収を緩やかにするためには、3食しっかり食べることが重要です。

食べる順番に配慮する

「野菜(食物繊維)」→「肉や魚(タンパク質)」→「ご飯やパン(炭水化物)」

血糖値の上昇に直接関わるのは食事に含まれる糖質です。糖質の吸収を緩やかにするために、サラダなど野菜から食べる「ベジタブルファースト」がおすすめです。食物繊維が多い食事は、その次の食事による血糖値も上がりにくくなる「セカンドミール効果」があるといわれています。

食物繊維を積極的にとる

野菜、こんにゃく、海藻類など食物繊維の多い食品、玄米や雑穀を食事に取り入れましょう。食物繊維の摂取目標量は男性で1日20g以上、女性は1日18g以上ですが日頃から意識しないと不足しやすいものです。血糖値の上昇を緩やかにするだけでなく、便秘や下痢を改善する効果もあります。

ゆっくりよく噛んで食べる

一気にかき込むようなドカ食いも血糖値が急上昇する原因になります。野菜の小鉢料理からよく噛んで食べることが大切です。早食いの自覚がある方は1食に15分以上かけて、糖質の吸収を緩やかにすることを心がけましょう。

食後に軽い運動をする

食後に少し歩く、家事など体を動かすことで、速やかに血糖値を下げるといわれています。階段昇降で意識して筋肉を使うなど、簡単なことから始めましょう。30分程度のウォーキングを週に2-3回取り入れるだけでも、血糖値を下げる効果が長く続くことが期待できます。

血糖値スパイク診断チェック

血糖値スパイクが当てはまるか気になる方は、セルフチェックしてみましょう。

  • 肥満体型である(BMIが25以上)BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
  • 家族、親族に糖尿病の人がいる
  • 高血圧がある
  • 朝食をとる習慣がない
  • 早食いである(1食10分以内)
  • ご飯、パン、麺など炭水化物に偏った食事が多い
  • コンビニのご飯を週3回以上利用している
  • 運動習慣がない、近くでも車で移動する
  • 食後はすぐに椅子に座り、動かないことが多い
  • 6時間以下の睡眠が週に3回以上ある

5つ以上当てはまる方は要注意。チェックが多いほど、血糖値スパイクの危険性があり糖尿病を発症する可能性が高いです。専門医に相談しましょう。

食事の取り方、運動、睡眠など生活全体を見直すことが血糖値スパイクの予防になります。

健康な人でも油断大敵!

普段から3食しっかり食べている方でも、突発的に朝食を抜くと昼食後に急激な血糖値上昇がみられることがあります。健康診断で糖尿病の可能性を指摘されたことがなくても、血糖値スパイクは隠れているかもしれません。油断せず普段の食事や生活習慣を整えましょう。

まとめ

非常に気付きづらい血糖値スパイク。この記事を読んでいる方は少し自覚症状があるのではないでしょうか?血糖値スパイクを抑える食事は、糖尿病の発症を予防することにもつながります。

私たちの体は普段の食事や生活習慣から作られていきます。少しずつ意識から改善していきましょう。不足しがちな食物繊維は、ごぼう茶や菊芋チップスで手軽に摂取できると続けやすいですね。

〈参考文献〉
日本放送協会(2020):“血糖値スパイク”が危ない~見えた!糖尿病・心筋梗塞の新対策~
https://www.nhk.or.jp/special/kettouchi/result/index.html